VR(バーチャルリアリティ)の基本を理解しよう!基礎知識や活用事例をわかりやすく解説
最近しばしば耳にする機会も増えてきた、VR (Virtual Reality:バーチャル・リアリティ)。言葉を聞いたことはあるけど技術について詳しく理解していない、またVRは身近なものではないと感じている方も多いのではないしょうか。
しかし、VRはすでに私たちの生活のなかで活用されており、ビジネス分野でもさまざまな業界で急速に応用されています。このようにVRは「自分には関係ない」と思っているうちに、じわじわと存在感を増している技術なのです。そこで本記事では、VRの基礎知識や仕組み、活用事例、将来性などを分かりやすく解説していきます。
「VR」の定義とは?
VRとはVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略語で、仮想現実と訳されます。VRの定義は、広義と狭義で捉え方に違いがあり、その違いがVRの理解を難しくさせているとも言えるでしょう。日本バーチャルリアリティ学会では、「VRは人間の五感を広げ、その機能を拡張することで、現実のような臨場感のある状況を作り、人間に本質を伝えるもの」と定義しています。
つまり、本来人間が五感で感じられる限界を超えることで、人工的に作られた空間を現実の世界のように体感させ、今までに実現できなかった臨場感を与えるという風に捉えることもできます。VR技術による体験が、従来では想像できなかったことや、想像しても実現できなかったことを可能にしました。
Virtual Reality(仮想現実)の略語であるVRは、簡単にまとめると、現実世界とは全く異なる人工的な情報からなる仮想世界を体験する技術です。
VRの仕組みについて
VRで仮想空間を楽しむためには、専用の「VRゴーグル」が必要です。ゴーグルを覗き込むことで、ゴーグル内に映し出された立体的な世界を見ることができます。VRの基本的な仕組みは、左右の視覚に対応した映像を映し出すことで、立体的な空間を再現するものです。左右に映る小さな差異から、モノの大きさや距離感を捉える人間の目の仕組みを利用して、立体的な仮想空間の体験を可能にしています。
加えて頭の角度や動きを感知するヘッドトラッキング機能を用いて、頭の動きとVRゴーグルが連動することでさらに没入感の高い体験を可能に。さらに視線の動きを追うアイトラッキング機能を利用して、キャラクター同士の見つめ合いや、目を逸らすなどのリアルな目の動きを再現しています。
専用のVRゴーグルを用いることによって、景色が360度繋がる立体的な世界を体験できます。
昨今のVRブームの背景について
近年注目を集めているVRですが、そもそもなぜこんなにも人気になったのでしょうか。実は、現在は第二次VRブームと呼ばれており、その発端は1990年代に世界で多くのVR機器が発表されたことです。日本においては、1995年に任天堂がVRを使ったゲームを作り出したことで注目されました。一時的にブームとなったものの、当時はCG技術が不十分だったことや、VR機器が非常に高価だったため普及するには至りませんでした。
そういう意味で昨今のVRブームには、リアルな仮想空間や没入感などVR本来の魅力だけでなく、VR周辺の技術の進歩や安価なデバイスが市場に出回るようになったことも背景にあると言えます。
VR周辺の技術向上と、デバイスが手に入りやすくなったことが近年のVRブームを後押しした大きな要因です。
VRと混同されがちなワードについて
VRと同様に、「AR」や「MR」といった言葉を耳にする機会も増えてきています。それぞれの違いを理解し、VRに関する知識をより深めていきましょう。
ARとは
ARはAugmented Realityの略語で、日本語では拡張現実と訳されます。意味としては、現実世界の中に仮想現実を拡張させるイメージです。CG技術の映像を現実世界のものに合わせることで、現実感のある拡張した空間を作る技術です。
身近な例には、スマートフォンアプリの『Pokémon GO』があります。スマートフォンの機能を用いて、現実の景色にポケモンを合成し画面上に反映させることで、実際に歩いている道にポケモンが出現したような感覚になります。
MRとは
MRは「Mixed Reality」の略語で、複合現実と訳されます。意味としては、仮想世界と現実世界を複合させるイメージです。ARをさらに発展させた新しい技術で、CG技術で作り出された仮想世界と現実世界を結び合わせます。
ARを活用した『Pokémon GO』では、ポケモンに近づくことはできませんが、MRならキャラクターに近づいたり、さまざまな方向から見たりなど、より仮想空間をリアルに感じることができます。
VR、AR、MRそれぞれの共通点と相違点
いずれも「物理的に存在しないものがそこにあるように見せる」点では一緒です。分かりにくい3つの言葉ですが、利用者がどの世界を主軸にしているかを基準に考えると、それぞれの違いを理解しやすくなります。
VR | 仮想世界を主として、現実とは異なる人工的に作られた世界に入り込んでいく技術(例:360度切れ目のない映像の中で闘うサバイバルゲーム) |
AR | 現実世界を主として、人工的に作られた情報を付け加える技術(例:Pokémon GO) |
MR | 仮想世界を主として、そこに現実世界の情報をデジタルに反映させる技術(例:参加者同士が離れた場所に居ても臨場感を味わえるWeb会議) |
VRに似た言葉に、ARとMRがあります。いずれも先進的な技術ですが、その性質は似て非なるものなので、それぞれの違いを理解しておきましょう。
手軽にVRを体験する方法
VRを体験できるeスポーツカフェやVRゲームセンターでは、低価格で本格的にVRを楽しむことができます。個人では揃えることが難しいハイスペックなVR機器も気軽に楽しむことができるため、気になるVR機器のお試しやコンテンツのチェックとしての用途でのご利用も可能です。eスポーツカフェでは完全個室や完全防音の場所もありますので、プライバシーを保ったまま気兼ねなくVRを体験できます。
eスポーツカフェやVRゲームセンターに足を運べば、ご自身で機材を揃えなくても気軽にVRを体験できます。
VRが活用されている身近な場面
仕事・プライベートを問わず、日常生活でVR技術が活用されている場面も多いです。基本知識を覚えた状態で改めて確認すれば、「なるほど」と納得できる部分が多いかもしれません。
身近なVR活用例
身近なところでいえば、VRは動画視聴やゲームに活用されています。VR動画では、家の中で映画館のような大迫力の映画を楽しむことや、360度全てに視界が広がる動画を見ることが可能です。また、VR技術を活用したゲームでは、体を動かすフィットネスゲームや、従来の何倍ものスリルや興奮が体験できるサバイバルゲームなどがあります。
ビジネスシーンにおける活用例
ビジネス分野においても、VR技術は活用されています。VRで作られた仮想空間でアバターを通じて会議に参加することで、より対面に近いビデオ会議を可能にしたVR会議のほか、PRやプロモーションでは、その場にないサービスや商品をVR上で表現し、体験してもらうことで魅力を伝えられます。
身近なところでは動画視聴やゲーム、ビジネスシーンでは商品やサービスのプロモーションなどに活用されています。
今後のVRに期待されていること
世界中で爆発的に伸びているVR市場、5Gの普及で実用性が向上することや、コロナ渦によるオンラインシフトへの意識変化などの好影響もあり、今後も右肩上がりで拡大されていくと予想されています。
社員の教育に応用し、研修やトレーニングをVRシミュレーションで行うことで、危険を伴う高所作業や複雑なオペレーションを本番さながらに練習できるようになるなど、様々なビジネスシーンで活用されています。
まとめ
VRを活用した近年の技術の進歩により、以前では難しかった体験もできるようになりました。まだ実生活では馴染みの薄いVRですが、今後さらなる発展や活用が期待されている新しい技術の一つです。
こうしたVR技術を活用する企業の増加に加え、気軽に体験できる施設が作られることで、徐々にVRに触れる機会が増えています。これからさらに日常生活に浸透するようになれば、私たちの生活をより豊かにし、現在の生活や働き方を大きく変えてくれるかもしれません。