映像制作に最適なパソコンのスペックまとめ|性能から選び方まで詳しく解説します
以前と比べると比較的動画をアップしやすくなった昨今ですが、映像制作が可能なパソコンのスペックについては、あまりよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「皆が買っているから、何となくこのパソコンにしよう」と安易に選んでしまうと、性能が足りず買い換えることになってしまうかもしれません。
また、必要以上にコストがかさみ、「もっと安く用意できたのに」という状況になってしまってはもったいないです。そこで本記事では、具体的なパソコンの選び方も含めて、映像制作に必要なパソコンのスペックについて解説します。
パソコンのスペックを理解するために必要な基本知識
まずは、映像制作に必要なパソコンのスペックについて理解するために、基本的な用語を覚えておきましょう。
CPU
パソコンに必ず搭載されているCPUは、コンピューターを構成する代表的な部品です。本体はとても小さいのですが、 「CPUでパソコンの性能が8割決まる」と言われるほど大きな役割を担っています。
メモリ容量
メモリ容量とは、データやプログラムを一時的に記憶する部品のことです。
ストレージ
ストレージとは、データを長い期間保管するための補助記憶装置です。データの行き来が多い動画データの場合、ストレージへの書き込みを多く要します。SSDのほうが、HDDよりも起動やデータの読み込み速度が早く、ストレスなく作業ができます。
グラフィックボード
グラフィックボードは、GPUを外付けするために基盤やファン、VRAMなどを搭載した部品です。GPUが画像・映像を処理するために必要な部品が一式揃えられています。
マザーボード
いくつかの部品・パーツで構成されているコンピューターですが、1つの機械として動作するために必要となるのがマザーボードです。
パソコンのさまざまなパーツが接続されていて、複雑な回路が張り巡らされており、パーツ間の橋渡しをする役割があります。
GPU
GPUは、Graphics Processing Unitの略で、画像処理装置を意味します。GPUは液晶画面に映像を映し出すために必須となる部品で、画像を描写するために必要な計算を処理するものです。
パソコンに搭載されている基本的な部品を覚えておけば、映像制作以外の場合でも、必要に応じたモデルを選びやすくなります。
動画編集をする上での推奨スペック
動画編集をする上での各パーツの重要度は、以下の通りです。
グラフィックボード<ストレージ<メモリ<CPU |
基本的には動画編集に限らず、この4つの部品がパソコンのスペックを決める要因となっています。
動画編集で推奨のCPUは?
- 低負荷の編集→core i5・Ryzen 5
- 推奨スペック→core i7・Ryzen 7
- 高負荷の編集→core i9・Ryzen 9
動画編集で推奨のメモリは?
- 最低限必要なスペック→16GB
- YouTube動画の編集→32GB
- 上記 + アニメーション編集→64GB
動画編集で推奨のストレージは?
- 低負荷の編集→256GB以上
- 高負荷の編集→1T以上
- 費用を抑えたい場合→外付けSSD
動画編集で推奨のGPUは?
- 最低限必要なスペック→GeForce GTX1650Ti/RTX3050
- 低負荷の動画編集→GeForce RTX2060/2070
- 高負荷の動画編集→GeForce RTX3060/3070
作業内容に応じて、必要なスペックが変わってきます。
解像度別の推奨スペック
FHDまでの解像度か、FHD以上の解像度かで、パソコンの性能が大きく変わります。作りたい映像がFHD+30fpsであれば、そこまでスペックの高いパソコンは必要ありません。YouTubeなどにアップする動画編集で必要な解像度は、FHDの1920x1080で十分です。
解像度別のピクセル数 | |
4K | 3840 x 2160 |
FHD(フルHD) | 1920 x 1080 |
HD | 1280 x 720 |
動画では高さと幅のピクセル数で「FHD(フルHD)」や「4K」など規格が決まっています。どの程度パソコンの性能が必要になるかは、解像度とフレームレートで決まります。
選び方①:自作PC・BTO製品・既製品
ここからは、映像制作を目的としたパソコンについて、スペック以外の面から具体的な選び方をご紹介します。まずは、製品のタイプ(自作PC・BTO製品・既製品)から選ぶ場合について確認していきましょう。
自作PCとは?
自作PCとは、CPU・メモリ容量・ストレージ・ハードディスクなどのパソコンに必要なパーツを購入し、自分で組み立てるパソコンのことです。
自作PCのメリット
- 性能にこだわることができる
- BTO製品より大幅にコストを減らせる
- パソコンについての知識が深まる
- 故障時に自分で直せる場合もある
- 組み立て作業が楽しい
自作PCのデメリット
- トラブル発生時に解決するまで時間がかかる
- パーツ選びが重要のため、選定に時間がかかる
自作PCはメリットも多いですが、その裏返しのようなデメリットも多いです。もともとハードウェアに興味があり、「パソコンについて知識をつけるのが楽しい」「テクニカルなことを知りたい」という方は、安くハイスペックなパソコンが作れるのでおすすめです。しかし、パーツ選びや組み立てなど完成までに時間がかかるため、デメリットを理解した上で選ぶようにしてください。
BTO製品とは?
BTO製品とは、自作PCと既製品の間のようなパソコンです。受注生産という意味で、ショップやメーカーが部品単位で組み立てた完成品を販売しています。基本的な構成で作られているモデルを自分で調整して注文できるため、予算や用途に合ったカスタマイズができます。
BTO製品のメリット
- 保証サービスを追加できる
- 組み立てコストが含まれている
- パーツの大量購入で単価を下げられる
BTO製品のデメリット
- 選べるパーツの範囲が狭い
- デザインにこだわることができない
- 自作PCに比べると拡張性が低く、自由度も下がる
カスタマイズした内容で組み立てられ、保証サービスを追加できるのがBTO製品を選ぶ大きなメリットです。その反面、ある程度組み立てられているため、自作PCに比べて拡張性が低く、自由度も下がるデメリットもあります。
既製品とは?
その名の通り、すでに完成しているパソコンです。
既製品のメリット
- メーカー保証がある
- 組み立てコストがない
既製品のデメリット
- ほとんど拡張することはできない
- デザインにこだわることができない
どのタイプにもそれぞれに魅力があり、メリットとデメリットがあります。どの程度こだわりたいかで自作PC、BTO製品、既製品を選ぶようにしてください。
選び方②:MacとWindows
続いて、OSで選ぶ方法を見ていきましょう。以前はMacでしか使えないソフトがありましたので、昔から映像制作に関わっている人のなかにはMacにこだわる方もいます。しかし近年では、有料・無料に関係なく、多くの優れた動画編集ソフトが双方のOSで使用可能になりました。
Macのメリットとデメリット
普段からAppleユーザーの方であれば、動画編集に関係なくApple製品を使うことで、エアドロップなど利便性では大きなメリットがあります。デメリットとしては、スペックを追求していくと、MacはWindowsと比べて約2倍の価格差があることです。
Windowsのメリットとデメリット
Windowsのメリットは、Macに比べるとスタートアップの段階で費用が多少安く済むことです。Windowsのデメリットは特になく、強いて言えば普段からAppleユーザーの方は映像編集以外での使い勝手が悪いくらいです。
コスト重視ならWindowsですが、WindowsにもMacにも優れた動画編集ソフトが数多くあるため、使い勝手で選ぶと失敗が少ないです。
選び方③:デスクトップパソコンとノートパソコン
同じ性能のパソコンを比べると、デスクトップ型とノート型では、携帯性に優れたノート型の方が割高になってしまいます。在宅時と外出時の作業量を鑑みて、メインでデスクトップ型、サブでノート型という持ち方も人気です。
デスクトップパソコンがおすすめの方
- 持ち運んで編集をする機会があまりない方
- 部屋にパソコンを設置する余裕のある方
- 価格を抑えたい方
- 大きな画面で編集作業をしたい方
ノートパソコンがおすすめの方
- パソコンを持ち運びたい方
- 価格が多少高くても問題ない方
動画編集に適したパソコンに形状は関係ありません。普段の作業環境を鑑みて、デスクトップパソコンとノートパソコンから適したものを選びましょう。
初心者向けの推奨スペックまとめ
動画編集に最適なパソコンに必要なスペックは、以下の通りです。
CPU | Core i7・Ryzen 7以上 |
GPU | GTX1650Ti以上 |
解像度 | フルHD1920x1080 |
メモリ容量 | 16GB以上 |
ストレージ | SSD 256GB以上 |
動画編集未経験の方は、作業内容に応じて、上記のスペックを参考に選ぶことをおすすめします。
まとめ
本記事の内容をまとめると、映像制作に必要なパソコンのスペック・選び方は以下の通りです。
- パソコンを選ぶ時はCPUが最も重要
- メモリ容量は16GBは必須
- ストレージはSSDがおすすめ
- パソコン初心者なら既製品
- コスパよく性能を上げたいならデスクトップ
- コスパを重視するならMacよりWindows
ゆくゆくは仕事として映像制作に携わりたいのであれば、最初からある程度のスペックのパソコンを購入するのも良いかもしれませんが、まずは気軽に動画編集にチャレンジしてみたい場合には、必要最低限のスペックを押さえた製品を選ぶようにすると安心です。