「ユニバーサルデザイン」がなぜ必要なのか?
3,675万人。これはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる2025年の、65歳以上の人口です ※1。総人口が減少する中で、増加し続ける高齢化率。そして加齢にともなう身体的な不自由は、社会にとっても無視できない問題です。
目がよく見えない、音がよく聞こえない、一人だと立ち上がれない、歩けない。このような問題は身体障がい者が抱える悩みとよく似ています。一方で、同じような悩みを抱える身体障がい者でも、毎年1回以上は家族や友人と旅行に行く人が6割を超えるというデータが株式会社ミライロから発表されています※2。
障がい者は行きたい場所よりも行ける場所を選ぶ傾向が強く、同じ店に何度も来店するといいます。もちろん一人ではなく、家族や友人と一緒なので、その分経済的な効果は高いことは間違い有りません。観光業から見ると非常な上客です。
※1:ユニバーサルサービス基本テキスト 日本能率協会マネジメントセンター
※2:株式会社ミライロ (https://mirairo-research.jp/post-165)
しかし、「行けるかどうかわからない」という理由から、旅行や外出を避ける移動困難者がいることも事実です。もし、彼らが旅行や外出に必要な情報を正確に得られるとしたら…世界はどう変わるでしょうか。
統計的に貯蓄額が年齢と強い正の相関関係をもつことから考えれば、これからの市場をリードするのは高齢者です。福祉的な意義だけでなく、経済的な合理性からも彼らをターゲットにサービスを展開することは、非常に現実的な路線なのです。
「ユニバーサルデザイン」とは、年齢や性別、身体的な障がいによらないあらゆる人にとって親切なデザインのことです。この考え方に沿ったあらゆる人が旅を楽しめる考え方を「ユニバーサルツーリズム」と呼びます。この考え方をいち早く取り入れられるかどうかは、今後の市場の分水嶺となるでしょう。
(株)VISITECが提案する解決策
わたしたち(株)VISITECは移動困難者たちが言う「行けるかわからないから行かない」という点に着目しました。実際に高齢者や障がい者にインタビューを行った結果、「身体の不自由や障がいの度合いは人によって違うのに、一概にバリアフリーを謳うお店や施設ばかりで期待してガッカリした経験がある」という方も多いことがわかりました。これは健常者の考える「ユニバーサルデザイン」は独りよがりである場合があるということです。
とはいえ、本当に全ての人に適応するユニバーサルデザインな施設を目指せば、お金がいくらあっても足りません。そこでそれぞれの施設がどの程度の身体の不自由さや障がいを受け入れ可能とするかは努力目標として、反対にお客さんがしっかりと自分に合った施設を探すことができる仕組みこそ必要だという結論に至りました。
そして誕生したのが日本初のユニバーサルツーリズム向けVRポータルサイト「ユニツー360(サンロクマル)」です。このポータルサイトは、観光施設やお店、観光地や宿泊施設といった場所について、高齢者や障がい者、そしてその家族が「旅をする上で気になることや気をつけているポイント」をヒアリングし、その情報を反映させた360°VRツアーが楽しめます。
そのポイントとは、健常者があまり意識することがない段差や通路幅、机の高さや浴室までの動線など。わずか3cmの段差でも車椅子にとっては進めない原因になりえます。机の高さも、車椅子の肘置きと干渉して、料理が食べにくいことも多々あります。手すりが少しつながっていないだけで、歩くのが困難になることも。「ユニツー360」では、それらのポイントをタグ検索機能に反映。ご自分の身体の不自由さや障がいにやさしい、自分の行きたい場所を探せるシステムを採用しています。
同じ悩みをもつ人の視点だからこそ、ただの写真や映像では伝えきれない、かゆいところに手の届く情報を提供できるプロジェクトです。
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360°VRツアー作例